ベルフェゴールは古くは怠惰の象徴とされてきたが、旧約聖書民数記二十五章におけるくだりで触れられる事件から後の解釈では好色も司るとされるようになった。また、占星学では彼の者は金星の象徴の一面ともされ、性愛を表すともされている。彼は女性に不道徳で背信的な性的嗜好を植えつけるとされ、近代の研究者であるコラン・ド・プランシーの著作に描かれた「地獄の辞典」挿絵によって一躍そのイメージを世に広めた。それというのもその姿は常に便器に腰掛けている物で、背徳の塊とも言うべき物だったのである。性と色の象徴とされながら常に便座にまたがる男と言い換えれば諸兄にも肉便器との連想が容易に繋がるだろう。一方では元々は知恵を授ける神だった(キリスト教的に言われる悪魔は基本的に他教の神や元天使)とも言われており、中世やそれ以前の発明家や錬金術研究家達の中にはベルフェゴールを信仰していたものも多いという。前出の挿絵もそれを意識した部分があるらしく、かの有名な像、「考える人」のパロディのようなポーズで便器に跨っている。これで考えていることが「次はどこにぶっかけよう」とかだったりするのかと思うと意外と親しみも沸くというものである。 |